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陰鬱キラキラにっき

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2022年4月7日(もく)

 

生暖かい微風が部活終わりを彷彿とさせる夕方、目の前に散らばる読みかけの本、グミの空袋、切れたままの2弦、文字通り随分と重くなった腰を浮かし、食っちゃ寝で終わりそうな1日へのせめてもの贖罪に近所を徘徊する。

 

狂ったように、まいにち知らないお爺たちの副流煙を吸いながらベンチに座っておひとり様のお花見をしています。これはぜんぶ春のせいで、春は最高の気温で、それがとても厄介で、家の中で惰眠を貪ろうとすると、春が匂いでわたしをやさしく確実に責めてくるから、こわくなっていても立ってもいられなくなり、思わず外に出てしまう。

耳をつんざく小型犬の吠え声、舗装されたばかりの道路、新しいまま潰れた果物屋、乗客のいる回送バス、死ぬまでつづく明後日以降への不安、だれもかれも攫ってくれない最悪の感覚。

何に手を出しても埋められなかった思考の隙間から入り込む暗くて湿った魔モノみたいなものが身体じゅうに充満して、苦痛と羞恥と羨望と後悔にまみれる。幸福と思いたいみたいな、そんなことばかりを考えてずっと歳をとっていて可哀想。そんなことばかり考えられるなんてたぶん幸せなんだけど。

まだ間に合うので、はやく老衰したい。

もう間に合わないかもしれないけれど、はやくたすかりたい。